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私たちの心がすでに知っている より美しい世界に向かって

はじめに

私たちは今とてつもない時代の変わり目に生きています。短く見積もっても、産業革命に端を発した時代がどのような形であれ終末を迎えようとしているのです。なぜここまで確信を持ってそう言えるのかといえば、成長し続けなければ維持出来ない現在の経済システムのニーズとその経済活動の源となっている地球資源量の乖離が広がりすぎて地球のバランスは崩れ始め、それが温暖化などの環境危機という形ではっきりと表れはじめているからです。2019年に関して言えば、1年で使うべき資源量をすでに7月30日前後の時点で使い切り、地球がまるで1.75個分あるかのように経済活動が続けられ、その勢いは年々増しています。過去百年から考えれば、今年も観測史上最も暑い夏なのかもしれませんが、未来の百年を考えた時に今年が最も気温の低かった夏ということも十分にあり得るのです。ただ実際には、そこまでの気温の上昇に至るまでに「氷河期に突入する」などの地球側から強制的にバランスを取り戻すための人類にとってはさらに大きな危機となる動きが起こるでしょう。テクノロジーの更なる発展が環境危機の回避につながるという視点もありますが、それだけではこの危機的シナリオ脱出には不十分だと思います。なぜなら、新しいテクノロジーはどうしても経済発展と環境対策の両方に使われるからです。

私たちの生存、平和、幸せのためには、少しでも現在の暴走している経済システムから脱却、卒業することが必要になります。そのためには、ルールや仕組みや法律を変えるなどの外側の作業もさることながら、その底流を流れる意識と役目を終えた「成長することが良しとされる物語」を眠りにつかせる内側の作業も必須になります。その今や古き物語は人間の個性や独立性を高め科学の発展をもたらした一方で、過度の独立性は人が他の人や家族、コミュニティー、自然と切り離されているという錯覚を起こし、未だかつてない欠乏感や孤独、そして、他と認識された存在への考えられない程の嫉妬や暴力が産み出されました。私たちはこの危機の時代を乗り越えるために「見える世界」の改革だけではなく、「見えない心の世界」の変容に取り組まなければならないのです。

私たちにとっての良いニュースは、新たな「つながりと個性が共生する物語」とより多くの人たちを幸せにするシステムを創り出す時間がまだ何とかあり、新しい物語の構成要素になりそうな革新的な方法・考え方・それらを実践しているコミュニティーも急激に現れはじめているということです。

私は長年、深層心理学、発達心理学、トラウマ学、胎生学、ソマティック心理学、神話学、歴史、スーフィズムや密教などの叡智の伝統、ムーブメント、瞑想、マインドフルネス、エコビレッジなどの幅広い分野での学び・実践を通じて、1)機能不全を起こしはじめている現在のパラダイムに幕を閉じ、2)言わば妊娠期のような過渡期を我慢強く耐え忍び、3)新しいパラダイムを産み出すという3つの領域のあり方を探るという活動に知らず知らずのうちに従事していたようです。私はこれから、今まで学んだ知識や身につけた知恵を伝え、翻訳、執筆、ワークショップの提供、コミュニティー創生などを通じて、多くの人と共にこの移り変わりの時代を歩んで行きたいと思っています。

そして、上記に述べた事を体現するためにも、私の活動はギフト経済や循環的経済(サーキュラーエコノミー)になるべく寄せるようにしたいと考えています。ギフト経済とは、それぞれの人が生きていく中で、その自分のライフステージごとのギフトを発見し磨き上げ、それを社会にギフトとして差し出すことでそれが必要な人に渡り、それを受け取れた感謝の気持ちでまたギフトを誰かに自然と送りたくなるという循環的な経済システムです。当然、自分にとって必要なギフトも周りから自然と巡ってくるという形になります。気持ちとしては、私が提供できる事をギフトとして提供して、それに価値を感じた受け取り手の方々がペイフォワードしてくださればいいわけです。ただ当然、そのギフト経済はある程度の参加者がいないと成立しないので、当面は現行の経済システムとギフト経済の両方を意識することになります。まだまだ未知の領域での活動になりますので、温かく見守っていただければと思います。

大野誠士 
2019年8月15日